漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
11.
消化管、肝胆膵の疾患
文献
長谷部啓子, 町田道郎, 矢田真理子, ほか. アカルボースと桂枝加芍薬湯併用療法の有用
性について -消化器症状の軽減効果の検討-. 基礎と臨床1997; 31: 3179-86. 医中誌 Web ID: 1998043002 MOL, MOL-Lib
1. 目的
アカルボースと桂枝加芍薬湯併用療法の有用性と安全性
2. 研究デザイン
準ランダム化比較試験 (quasi-RCT)
3. セッティング
公立昭和病院1施設
4. 参加者
食事療法と運動療法を実施するが血糖コントロール不良のインスリン非依存性糖尿病
(NIDDM) 20名
5. 介入
Arm 1: アカルボース (1回50mg、1日3回 食直前) とツムラ桂枝加芍薬湯エキス顆粒
(1回2.5g、1日3回 食前) 併用 10名
Arm 2: アカルボース単独 10名
4週間投与
6. 主なアウトカム評価項目
自覚症状 (腹部膨満感、放屁、鼓腸、腹痛、腹鳴、下痢、軟便、便秘) を4段階のスコ
アで評価: 試験開始時、2週後、4週後
空腹時血糖、HbA1c: 試験開始時、4週後
7. 主な結果
自覚症状は2週後までは両群とも悪化傾向だが、4週後では併用群のみ下痢、腹痛が見
られなかった。スコアの和でも、単独群は2, 4週ともに有意に悪化したが、併用群は2
週で悪化傾向が、4週で開始時と差を認めなかった。空腹時血糖は両群とも有意差はな
かったが、HbA1cは併用群のみ4週後で有意に改善した。
8. 結論
α-GI であるアカルボースの副作用の消化器症状軽減に桂枝加芍薬湯併用は有用で、併
用群のみHbA1cの低下が確認される。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
併用群に調査した自覚症状の有意の悪化がなかった。
11. Abstractorのコメント
軽症の糖尿病に用いるα-GIであるアカルボースのいわゆる副作用として生じることの
多い腹部症状は、この薬剤を中止する原因となる症状である。この症状を桂枝加芍薬 湯で軽減~消失することはアルガボースの継続に有用である。しかし、軽症糖尿病に 対する薬剤はさらに開発されており他の薬剤の選択肢も増えている。そのためアカル ボースを継続するだけに漢方薬としても内服が増えることには議論がある。また、今 回の検討で単独群の血糖降下やHbA1cの低下が有意でなかったことは、今回の検討群
の均一性に問題があった可能性がある。今回の結果から併用療法は耐糖能を改善させ る効果があるため、症例を選んで内服することはアカルボースを継続させることに有 用と考えられ、さらなる検討が期待される。
12. Abstractor and date
並木隆雄 2008.12.29, 2010.6.1